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May 27, 2006

旭川の旭山動物園

 北海道・旭川の小さな旭山動物園。2005年夏季の3ヶ月累計で、あの上野動物園を抜いて入園者数日本一となった。一時は客足が遠のき、廃園の危機にさえあった。
 何が日本一に押し上げたのか?それは、何も珍しい動物が来たからではなく、全員の意識改革だと言われている。そもそも動物園は、動物を見に来る。そこで働く飼育員は裏方で、動物の世話をして観客の邪魔にならないようにしている。表にでるのは、イルカやお猿の芸を披露する一部のショー担当の人だけ。と言うのがこれまでの動物園の固定概念であった。当然、従業員もその考えが当たり前であった。
 でも、本当に動物の特徴や可愛さや賢さなどの良さを知っているのは、飼育員が一番である。動物園で檻の外から通りすがりで見ているだけでは判らない良さを知っているのは飼育員自身である。その飼育員が、担当の動物の良さを観客に説明する。なるほどとうなづいてもらう。もっと知ってもらって、来て良かったと思ってもらう。そうすればもっと動物園が楽しくなり、自分達も励みになる。そのことに気がついて、飼育員が自分自身の顔と名前でお客の前に立つ。ライブな形で接客することで、“動物相手の仕事”という自己完結的な意識が“お客さんのために何ができるか”という方向へ開かれていく。つまり現場の仕事と思っていたのが、サービス業としての方向転換であった。その方向転換を支えたものは、「動物園の動物はつまらない」「くさい、きたない」といった世間の悪評でありそれに対する悔しい気持ちであった。「自分の担当する動物は、本当はスゴイんだぞ!」ということを何とか伝えたい。現場で仕事をする玄人が、素人であるお客さんと接する事で、本当の良さを伝えることができ、お客さんのハートを掴んだのである。
 自分の感動を他人と共有するための創意工夫は、心躍る仕事なのである。組織の中で「自分の仕事」に没頭している従業員は、どこにでもいる。そこでは個々の職業能力が磨かれ、その人なりのやりがいが生まれているだろう。しかし、それらを組織が最大限に活用する為には「その仕事がお客さんの満足にどうつながっているか」を本人に見通しさせることが重要だ。
 人間は、「誰かに喜んでもらいたい」からこそ良く働き、その動機をはっきり自覚できた時こそ持てる能力をよく発揮する。
 動物園は一例にすぎない。私たちの職場でも、生活の場でも、固定概念に捕らわれていないだろうか?誰かに喜んでもらえる仕事をしているだろうか?折角する仕事なら、創意工夫で心躍る仕事をしなければ自分にとって大損である。
(参考)日経ビジネスオンライン2006.5.24「『旭山動物園のつくり方』は、組織の作り方」(松田尚之)より

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